長崎南山中学校2年生 永瀬 諒(男子55kg級)

ソンス中学校戦

 一本負け(背負い投げ)

 キョンミン中学校戦

 一本勝ち(大内刈り)

 「肩幅が広い。」これが正直,僕が相手の韓国人を見たときの第一印象でした。僕は,夏休み前からこの韓国遠征をずっと楽しみにしていました。そして迎えた8月27日,外国人と練習試合ができるという期待を胸に,福岡空港を出発したのが僕の韓国遠征の始まりだったのです。

 韓国に行く前,韓国の対戦相手は,国士舘中学校や大成中学校と互角に戦ったということを聞いていたので僕なんかは歯が立たないだろうと思っていました。そしていざ試合をしてみると,案の定,負けてしまいました。そこで僕は,「気持ちが負けている。もっと自分の技を出さなければ。」と反省し,気を取り直してもう一度試合に臨みました。すると今度は,どんどん技が出て,何とか勝つことができました。しかも,一本をとることができ,格別にうれしかったです。この瞬間は,今思い出すだけでも鳥肌が立ってきます。

 振り返ってみると,韓国の人は,力が強くてパワーあふれる柔道だったと思います。軽量級のでも長崎の重量級並の力があった気がします。また,とてもねばりのある柔道で,技をかけられるとこらえるのにやっとでした。僕は,この遠征で多くのことを学ぶ事ができました。「組み手を妥協しない」「技をもっと磨く」「最後まで粘る柔道をする」といったような,これからの課題を見つけることができました。

 僕は,この遠征でもう一つ大事なものを得ることができました。それは,「友情」です。試合が終わった後,相手の選手と友だちになることができました。言葉は,お互い通じないけれど,柔道を通じて友だちになったのです。この友だちと撮った写真は一生の宝物です。将来また,一緒に柔道をしたいと思いました。

長崎中学校3年生 森  貴嗣(男子60kg級)

ソンス中学校戦

 一本勝ち(内股)

 キョンミン中学校戦

 一本負け(巴投げ)

 僕は,韓国遠征に参加させてもらい,いろいろなことを学びました。

 韓国の中学生との親善試合の1試合目は,自分の技がうまく決まり,勝つことができました。でも,2試合目は,とても組みにくくて,体を低くしているので,ほとんど技を出せないまま負けてしましまいました。韓国の中学生は,とても力が強く,打ち込みの時も,日本人との違いを感じました。

試合の後,韓国の町を観光でまわりました。南大門市場は,キムチの香りが漂い,お店の人は,断っても断っても「安いよ,安いよ」と言ってきて困りました。韓国の料理は,どれもおいしく,特に焼き肉は,もっと食べたいくらい,めちゃくちゃおいしかったです。

 5日間,韓国遠征に参加させていただき,本当にありがとうございました。とてもいい経験ができたと思います。

長崎南山中学校3年生 中村 祐介(男子66kg級)

ソンス中学校戦

 優勢勝ち(内股を返して有効)

キョンミン中学校戦

 一本負け(背負い投げ)

 私が韓国の選手と試合をして思ったことは,韓国の選手は,肩車や双手刈りなどの技の入りがとても速くてうまかったことと,韓国の柔道はとてもパワーがあって試合がやりにくかったです。また,国際ルールは,「待て」や「指導」が早かったり,赤畳での5秒間の反則は少しやりにくかったところがありました。

 私が1回目に対戦した相手は,長身で得意技は内股でした。私は,参加選手の中で一番身長が低いせいもあったけど,相手はとても身長が高く,最初にとった有効以外は,相手の内股を返すことぐらいしかできなくて,日本でこんな試合をしていたら監督に怒られていただろうと思うほど,とても消極的な試合でした。

 2試合目は,最悪でした。身長はあまり変わらなかったのに,最初から背負い投げに入られては飛ばされの繰り返しで3,4回目にきれいに入られて一本負け。相手はパワーもあったし,技のタイミングもすごかった。それに比べて私は最初に相手を少し転ばせたくらいで,後は何もできずにバタバタしていました。私は,ポイントをとった後,消極的になってしまうところがあります。これからの課題です。

 また,古賀君が対戦した73kg級の韓国チャンピョンは,まわりの選手よりも格が違っていたと思います。あの選手は,もう柔道がほとんどできあがっていて,とてもパワフルな柔道をしていたと思いました。2年生の永瀬君や藤原君は,来年の韓国遠征に課題が残ったと思います。

 一つ,この遠征で検討していただきたいことは,韓国選手との練習では,打ち込み練習と試合でけでなく,乱取り練習などの時間を増やしてほしいという点です。

 台風の影響で帰国が一日延びてしまいましたが,先生方やシスターの皆さんのおかげで無事,帰国ができました。今回の遠征をいい思い出だけに終わらせず,中学校での残された試合や来年の高校生活に向けて,毎日の練習をがんばっていきたいと思います。

時津中学校3年生 古賀 達也(男子73kg級)

ソンス中学校戦

 優勢勝ち(背負い投げで有効)

キョンミン中学校戦

 一本負け(背負い投げ)

 8月27日から1日延びた韓国遠征では,たくさんの思い出ができ,とても良い経験になりました。27日,長崎から韓国へ出発しました。空港では,パスポートが必要で,初めて使うため緊張しました。

 28日,この韓国遠征の一番の目的である日韓交流試合が行われました。練習のときからみんなピリピリしながら汗を流していました。いよいよ試合が始まりました。先鋒の永瀬君を始め,長崎の選手みんなが十分力を発揮しがんばっていました。

 自分の試合を振り返ってみると,1試合目は,奥襟をつかむ力がとても強く,少しやりにくかったが,背負い投げでポイントを取り,勝つことができました。2試合目は,韓国の73kg級のチャンピョンで,開始20秒ほどであっさり負けてしまいました。さすがにうまく,強かったです。悔しいというより,自分に足りない部分が発見できそうな気がして,わくわくした気持ちを感じました。

 台風接近のため1日延びましたが,5日目に無事,長崎に帰ることができました。楽しくて,とてもいい経験をさせていただいた韓国遠征を計画していただいた先生方に大変感謝しています。

三重中学校3年生 馬場 光大(男子73kg級)

ソンス中学校戦

 一本負け(払い腰)

キョンミン中学校戦

 一本負け(固め技)

 僕は,この韓国での遠征で多くのことを経験することができました。出発する前は,親しい友だちもいなく,韓国へ行くことがとても不安でした。でも5日間の遠征を通してたくさんの友だちをつくることができました。

 韓国の選手と練習や試合をしてみて感じたことは,まず,準備運動をゆっくりやるということです。なぜゆっくり練習をするかというと,体をじっくりと温めることによって乱取りや寝技などのときに体を動きやすくするためだと思いました。試合をやってみて,体はじっくりと動かしていく方がいいと思いました。試合の方は,1回戦の相手は,自分より身長は低かったのですが,背負われてしまい,あっけなく負けてしまいました。2回戦は自分の体落しが決まり,技ありをとることができましたが,寝技に入ったとき,返され逃げられてしまい,その後,投げられて一本をとられ負けてしまいました。長崎で1位や2位をとっている人たちが苦戦しているのを見て,世界のレベルはものすごいものだと思いました。やはり,日々の練習の積み重ねの違いだと思いました。僕は,正直,練習はあまりしていなくて韓国に行くことになったので,自分がすごく力がないように感じました。

 これから高校に入って,韓国で経験したことを生かしながら生活していきたいと思います。そして,僕たちの次の代の人たちにももっともっと強くなってほしいと思うので,来年,再来年とこの遠征を続けていってほしいです。最後に,この遠征を支援してくださった先生方,保護者の皆様にお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

三川中学校3年生 堀ノ内晴士郎(男子81kg級)

ソンス中学校戦

 引き分け

キョンミン中学校戦

 一本勝ち(大内刈り)

 今回の遠征では,たくさんのいい経験をすることができ,勉強になった点や見習うべき点がたくさんありました。まず,国際ルールで試合をしたことです。いつも僕たちは,講道館ルールの少年規定で試合をしています。しかし,僕は,国際ルールの方がやりやすかったように思えます。

 また,試合の中で一本勝ちできたこともとてもうれしかったです。この遠征に行く前に,僕は全国中学生柔道大会に参加しました。その中で国士舘中学校や東海大相模中学校などの強豪チームの試合を見て,学ぶことがたくさんありました。韓国遠征では,そのことを思い出して試合に臨んだことで,一本勝ちという成果を出すことができたと思います。近い将来,日本の大会で勝って,世界大会に出場したいと思います。いろいろなことに気づき,僕の柔道は進化を続けます。

 韓国で観光したことも良い思い出となりました。韓国には,とてもきれいな女性がいました。今,日本は空前の韓国ブームです。「冬ソナ」でおなじみのチェ・ジウさんなどきれいな人が韓国には多いのです。また,韓国の「食」については,どこの店に行ってもキムチが食べ放題でした。そして,なんといっても骨付きカルビの焼き肉。あれが最高でした。口に入れると肉の甘い味が広がり,フワーと肉がとろけました。もう少したくさん食べることができたら良かったと思います。

 今回は長崎市柔道協会の先生方,そして,お世話をしていただいた方々にとても感謝しています。本当にありがとうございました。

東長崎中学校2年生 藤原 浩司(男子90kg級)

ソンス中学校戦

有効負け(内股すかし)

キョンミン中学校戦

一本負け(大外刈り)

 僕は,日本から初めて海外に行くので,行きの飛行機から緊張でいっぱいでした。ソウルに着いてから町に行ったりして,洋服や財布などの買い物をいろいろしてとても楽しかったです。夕食は,毎日がとても豪華でとてもおいしかったです。

 試合については,一試合目,たくさん攻めていましたが,内股をすかされ有効をとられて負けてしましました。二試合目は,開始早々,大外刈りで一本をとられてしましました。試合を振り返ってみると,自分の引き手の弱さや筋力の弱さをとても実感しました。だから,よく巻き込んでしまうのだと思いました。韓国の選手を見ているとパワーが非常に強く,スピードもあったと思いました。来年も是非参加して,今度は,今よりももっと強くなって全勝したいなと思います。

そして,最後となるはずだった日は,台風の接近のため一日長く泊まることとなり,僕はとてもうれしかったです。教科書にも出ていた3・1独立運動の場所にも行けてとても良い勉強になりました。

帰りの飛行機では,降りたと思ったらまた昇ったりと,もしかしたらハイジャックされたのでは,と思ってしまい,少しドキドキしました。

この五日間は,柔道ではとてもいい経験ができたし,とても有意義な五日間でした。

岩屋中学校3年生 古川 拓己(男子90kg超級)

ソンス中学校戦

有効負け(大内返し)

キョンミン中学校戦

一本負け(払い巻き込み)

 今回の韓国遠征試合での僕の反省は,組んでから技をかけるのが遅いことでした。この反省は,今回の試合結果につながっていたと思います。韓国遠征試合の反省をこれから大事にして日々の練習に生かしていきたいと思います。

 韓国遠征試合の気づきは,韓国の選手は組ぎわを大事にしている点でした。組ぎわで相手が崩れたときにどんどん技をかけてきました。この気づきも反省と同様に日々,練習で生かしていきたいと思います。

 最後に韓国遠征の思いでは,たくさんできました。初めての海外試合,韓国の空気を吸いながらの自由行動,台風接近のために延泊をしたことも僕にとっては大事な韓国の思い出の1つとなりました。

今回の韓国遠征は,3年間の中学校生活での大きな思い出となりました。僕は,中学生で韓国という外国に行けたことが本当に幸せだなぁと思いました。今回の韓国遠征で,いろいろとお世話していただいた保護者の方々や先生方,本当にありがとうございました。

長崎大学教育学部附属中学校3年生 松永正太郎(男子90kg級)

ソンス中学校戦

 一本勝ち(内股)

キョンミン中学校戦

 一本負け(朽木倒し)

 今回初めての海外旅行,初めての外国人選手との遠征試合でとても貴重な体験をさせていただいたことを関係者の皆様に心より感謝いたします。

  飛行機で約一時間で到着する東京よりも近い韓国へ行き,目の色も髪の色も肌の色も日本人と全く変わらないのに柔道も食文化も全く違うところに本当に驚きました。

 まず柔道では,韓国の強豪チームであるソンス・キョンミン中学校の二校と対戦しました。韓国は日本の講道館少年柔道規定のようなものはなく,国際ルールで日頃より練習しており,僕たちは組み手に大変苦労しました。また,韓国の中学生は,柔道が大変パワフルで日本人にあまり見られない柔道をしてきました。攻撃的で左右の技を必ず仕掛け,半身の変形スタイルが多かったように感じました。日本であんな組み手をしていたら先生にしかられるのでは,いうほどでした。スタミナ・腕力,どれをとっても僕たちを上回っていて,後で何でこんなに力が強いのかと質問をすると,「キムチを食べているから」という答えが返ってきたときには笑ってしまいました。

自分の試合を振り返ると,緊張のあまり試合の前から負けていたように感じます。第一試合は,きちんと組み手をとらせてくれたので何とか一本勝ちをすることができました。第二試合は,身長も僕より大きく顔も大変強そうだったので,試合前から少し弱気になってしまって,結局,自分から自爆するような形で負けてしまいました。後でビデオを見せてもらったら何であそこでというところがあって後悔することばかりでした。父にそのことを話したら「勝負に『たら』『れば』はない。強い気持ちで試合をしなければだめだ。」と強く叱られました。また,チャンスがあれば今後の柔道の試合において必ず守って行かなくてはならないと思いました。

それから,食べ物はカルビ,焼き肉は大変おいしかったのですが,韓国の代表的なキムチ,サムゲタンや香辛料を多く含んだ伝統的な料理は,とても辛くて食べることができず,びっくりしました。冬がとても寒く,冬をのりきるために,体の中からあたためるものが必要と聞いていましたが,さすが韓国本場のキムチはすごかったです。何か韓国人のパワーの源を感じることができたと思います。最後に台風の影響で,一日延泊することになり得をしたような気がしましたが,その関係で叔母をはじめ,韓国の方々,そして長崎市柔道協会の先生方に大変お世話になったことを心より御礼申し上げす。ありがとうございました。そして,この遠征がこれからもずっと続くことを希望します。

東長崎中学校3年生 川下 琴華(女子52kg級)

ソンス中学校戦

 有効負け

キョンミン中学校戦

 一本負け(内股)

 「韓国に行くぞ」そういわれたのは6月の長崎市中総体が終わり,次の目標を立てようとした頃です。「えっ」っと聞き返したのを覚えています。最初は韓国に行くっていう実感があまりありませんでした。ですが,韓国遠征が近づくにつれ,出発の日が待ち遠しくて仕方がありませんでした。

 そして迎えた8月27日。私たちを乗せた飛行機は韓国へ飛び立ちました。その飛行機の中では,早速,韓国語。そして韓国人の客室乗務員。「韓国はどんなところなんだろう」というようなことばかり考えていました。短い空の旅を終えて,到着。「これが異国の地,韓国だ」と確信し,まず目に入ったのがハングル文字でした。なんと読むのかさっぱり分かりませんでしたが,私はかなり感動しました。何せ,初の海外旅行だったので何もかもが新鮮でした。

 入国手続きを終えて,バスに乗り移動。南大門に向かいました。そこでの第一印象は,日本が上手だなぁ,でした。その後,免税店へ行き,少し買い物をしてホテルへ直行。それから夕ご飯を食べにいきました。その日のメニューはカルビとチヂミ。肉をハサミで切っていたのに驚きました。

 翌日,ソウル体育大学内の道場で韓国の選手と練習試合をしました。緊張している反面,やる気は十分です。練習をして,韓国の人とコミュニケーションもとれました。そしていよいよ試合です。国際試合を経験するのが初めてだったので動きもぎくしゃくしてしまい,本来の自分の柔道をすることができませんでした。やはり,世界の壁は高いんだなぁと感じました。また,オリンピックや世界大会に出ている日本代表の選手の気持ちが初めてわかったような気がします。そして,一番心に残っているのは,試合終了後に交わした握手です。さっきまで戦っていた相手と笑顔で握手を交わしたとき,「世界に柔道仲間ができたんだ」と感じました。柔道を通して国際交流ができたことを嬉しく思っています。

 試合が終わってから,買い物や観光と,韓国を思う存分,楽しく見学させていただきました。また,韓国の歴史についても学ぶことができ,日本が朝鮮半島を支配していた頃,とてもひどいことがあったんだなと想像すると胸が痛みます。ですが事実なのです。どんなに時間がたっても朝鮮の人たちには忘れることのできない記憶だと思います。それは私たち日本人にとっても忘れてはいけないことだと思います。

 この韓国遠征を通して,韓国への興味や理解を深めたと共に国際平和や国際理解の大切さを学ぶことができました。今回の韓国遠征を計画して下さった長崎市柔道協会の先生方,お世話をしていただいた保護者の方々には感謝しています。本当にありがとうございました。長崎市をはじめ,長崎県全体の柔道の発展を目指し,来年度も計画していただけると嬉しいです。韓国遠征で学んだことをこれからの私の柔道や日常生活に役立てていきたいと思っています。

鳴北中学校2年生 近藤 薫(女子57kg級)

ソンス中学校戦

 技あり勝ち(小外掛け)

キョンミン中学校戦

 一本勝ち(背負い投げ)

 私は今年初めて行われる韓国遠征に参加させてもらいました。以前から少し話は聞いていましたが,ぜひ行ってみたいと思っていました。韓国の柔道は,オリンピックで見たことがありましたが,とても力が強そうで,不安でした。とにかく,相手に合わせず,自分の柔道をしたいと思いながら親善試合に臨みました。

 そして,緊張のなかで試合が始まりました。1試合目は48kg級の人でした。小外掛けで技ありをとって勝つことができました。初めて韓国の選手と試合をした感想は,力が強くてとても組みにくいと思いました。日本と違うところは,相手に組ませず,自分が技をかけるときに組みにいくような柔道でした。1試合目を勝つことができたので自分に少し自信がつきました。

 2試合目は,打ち込みを一緒にした63kg級の人との対戦でした。その人は私よりも身長が高く,奥襟をとられてしまいました。しかし,何とか背負い投げで一本とることができ,自分が一番決めたかった技で一本をとれてとても嬉しかったです。

 そして,1試合目で戦った相手ともう一度した3試合目は,最初に大内刈りで技ありをとり,押さえ込んだのですが逃げられてしまいました。その後,私は投げられそうになった瞬間に手をついてしまい,脱臼してしまいました。あのときは私の不注意でたくさんの人たちに迷惑をかけてしまいました。

 今回の韓国遠征では,長崎県の先生方や韓国の病院の先生などたくさんの人たちにお世話になりました。そのことで私はとても貴重な体験をすることができました。また今回,私が脱臼したことも今まで大きなケガをしたことはなかった私には良い体験になりました。今は十分に練習や試合に参加することができませんが,今回の韓国遠征の経験を生かしてがんばっていきたいと思います。

東長崎中学校3年生 川下 綾華(女子63kg級)

ソンス中学校戦

 優勢負け(小外刈り)

キョンミン中学校戦

 

 長崎市中総体が終わって,韓国遠征の選手に選ばれたことを聞いたときは驚きでいっぱいでした。最初はあまり実感がわかなくて「えっ,私,選ばれたんだっけ?」という感じでした。でもテレビで韓国の情報が流れていたり,本屋で「韓国」の文字が目にはいると手にとって読むようになり,本当に行くんだと実感し始めました。韓国に行くまでの3ヶ月は,パスポートを申請したり,持っていく物を買いそろえたり,県の中総体や九州大会に出場したりしていたので,あっという間に過ぎてしまいました。出発前日の8月26日。初めての海外旅行を経験する私は,興奮と楽しみであまり眠れず,何度も何度もパスポートや荷物の確認をしていました。福岡空港から韓国へ向かう飛行機の中では,「無事に着くかな?韓国の料理ってどんなのだろう?」などなど,不安と期待が入り交じった気分でした。

 韓国について一番最初にびっくりしたことは,道路が右側通行になっていたことです。テレビで右側を走っている車を見たことはありましたが,実際,自分が通るのは初めてだったので少し戸惑いました。その日の夜は前日眠れなかったのが嘘みたいにぐっすり眠れました。

 2日目,試合当日。大学の柔道場に着いて,一息つく間もなく柔道着に着替えた私は畳がいつもと違うのに気づき,「こんなつるつるした畳で試合するの?」と,驚きました。試合前の練習で私は韓国の中学2年生の女の子と打ち込みをさせてもらいました。私は韓国語,相手は日本語がわからないので片言の英語でコミュニケーションをとることができました。韓国人選手と試合をして感じたことは,同じ学年で同じ階級なのに,体がとても大きいなということと,力が強くて,技にきれがあるということです。試合中,私が得意とする技で何度かポイントを取ることができましたが,結果的に負けてしまったのでとても悔しかったです。

 今回,韓国遠征を計画し,実現してくださった長崎市柔道協会の先生方,松永シスター,同行していただいた保護者の皆様のおかげでいい勉強になりました。本当にありがとうございました。この遠征で学んだことを今後の私の柔道に生かしていきたいと思います。

日本大学附属中学校2年生 橋本 明子(女子70kg超級)

ソンス中学校戦

 一本負け(背負い投げ)

キョンミン中学校戦

 一本勝ち(大内刈り)

 今回の勧告遠征を振り返ると,いろいろなことが思い出されます。特に交流試合の当日は,初めての海外遠征だからなのでしょうか,ソウル体育大学の道場に入るとき,今までに経験したことがないくらい緊張しました。「言葉は通じるのだろうか」「挨拶はどうしよう」「きっと強い相手だろう……」など考えると,頭の中は真っ白になってしまいました。今になって考えると,もう少し大きな声で挨拶ができていたら良かったと反省しています。

 早速,韓国チームのリーダーのかけ声で準備運動が始まりました。打ち込みはそれぞれ韓国の選手とくんで行いました。一緒に汗を流していると,なぜか初めて会った気がしません。いつの間にか緊張もなくなっていました。言葉は通じなくても,自分の伝えたいことが,きちんと分かってくれている気がしてとても嬉しくなりました。

韓国の中学生は,優しく,表情豊かで明るく,日本のこともいろいろと私に質問してきました。英語で話せたことも良かったと思います。短い時間でしたが,この韓国の中学生との交流が私にとって,一番の思い出になりました。もし,機会があれば,今度は交流の時間を多くつくってほしいです。

 次に交流試合についてですが,相手は想像以上に力がありました。結果は2試合とも同じような結果で優勢負けでした。悔しかったです。技術的にはレベルの差はなかったと思いますが,柔道の攻め方が私たちとは違っていました。何がどう違うのか,今思い返しても私にはよく分かりません。もっと経験を積まなくては行けないと実感しました。

 翌日は,ソウル市内を見回って,午後は近藤さんと街に出て買い物をしました。繁華街を回っているうちに,文化の違いや,店の造りが違うのに気がつきました。日本語が上手な人が多いのにも驚きました。

あっという間に帰国の日がやってきました。「帰りたくない」と思っていたら,台風で滞在が一日延び,最高でした。先生方は,大変だったと思います。松永シスターのご配慮で無事,最後の一日を楽しく送ることができました。松永シスターには感謝の気持ちで一杯です。今回,貴重な機会をくださった柔道協会に先生方に心からお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。

韓国遠征を振り返って

長崎市中学校体育連盟柔道競技専門委員長
源城 暢之(長崎市立東長崎中学校)

 今回の長崎市柔道協会韓国遠征事業に長崎選手団監督として同行させていただきました。このたびの事業は,長崎市柔道協会の諸先生方の柔道を志す中学生のために,すばらしい体験の場を賜り,長崎市中学校体育連盟の柔道競技専門委員長の立場からも,大変ありがたく,言葉に言いあらわせないほどの感謝の気持ちで一杯です。

 今回の韓国遠征団は,6月13日に行われました長崎市中学校総合体育大会を終えて,長崎市柔道協会の諸先生方のご意向をもとに長崎市内を中心にこれまで活躍の著しかった男女各階級の2,3年生から選考しました。選手の各家庭への報告の後,7月28日,遠征に向けての説明会を行い,第1回長崎市柔道協会中学校韓国遠征選手団が結成されました。選手のほとんどが,6月の市の大会の後,7月23日の県中総体,8月6日の九州大会(佐賀県),8月20日の全国大会(埼玉県)と,過密なスケジュールをこなした後での日程となりましたが,すべての選手が大きなケガもなく万全の体調で8月27日からの遠征に臨むことができました。選手たちも初めての海外旅行で,楽しみにしている様子で,意欲をもって参加できたようです。

 韓国との試合では,桂先生のご配慮で国内チャンピョンを擁する強豪校中学校(ソンス中学校・キョンミン中学校)と対戦することができました。戦前は,青色の柔道着で統一した韓国チームにやや緊張ぎみの長崎チームでしたが,練習が始まり,韓国の選手と打ち込み練習をするうちに,緊張もほぐれ,本来の選手たちの表情に戻っていきました。試合では,接戦が続き,長崎選手の鮮やかな一本勝ちも見ることができました。同時に韓国選手の力あふれる技と,国際ルールに慣れた試合運びのうまさには,我々も感心してしまう場面もしばしばありました。長崎の選手たちにとって今回の韓国の2校は,柔道技術のうまさ,身体能力の高さ,そして精神面の強さにおいて,日本国内の試合では体験できない新しいものを感じることができたようでした。実力的にも長崎チームの対戦相手に適したチームを選択していただいたと思います。また,選手たちは,初めての海外遠征を通じて,学校で学んでいる国際社会のあり方を柔道というコミュニケーションによって体感できたのではないでしょうか。試合後の両国選手が笑顔で自然に寄り添っている姿を見て,今回の遠征が十分な成果をあげたことを実感しました。

 現在,長崎県の中学校の部活動は,岐路に立たされています。これまで児童・生徒が学校の教育活動を通じて,スポーツに出会い,親しむ機会を与えられてきました。その中でも課外活動である中学校の部活動は,その中心的な機会でした。しかし,今では,少子化に伴う生徒数の減少によりサッカー部,野球部などの人数を要する部活動が廃部になっている現状があります。柔道も同様で,長崎市内の中学校に柔道部がある学校が年々減少していっています。実際,小学校低学年から町道場で錬磨してきた生徒も中学校に進学する際に,中学校に柔道部がないために,練習する場や仲間がおらず,他の部活動に入部したり,個人戦のみに出場するケースが増え,さらには,中総体の試合でも7階級の内,エントリーが一人のみの階級やエントリーが全くない階級も出てきています。

 また,長崎県の中学校教員の人事異動は,原則として,離島・郡部との職員交流のため,3年ないし6年という早いサイクルで勤務校の異動がなされます。その際,おおむね異動した先の学校で部活動の顧問を任されることになりますが,必ずしも自分が専門とする競技の部活動をもつことができず,新設を要望してもその学校の実情(他の競技の部活動との兼ね合いや部の存続の問題)により,認められないことがよくあります。このように一度廃部になった部活動を新たに興すことが難しいのが現状なのです。現行の中学校の部活動体制では,今後の柔道の競技力の低下,さらには競技人口の低下にもつながっていくことと思われます。

 しかし,このような競技人口減少の中で,全く柔道経験のない教員が柔道部を引き継ぎ,さらに中学校で初めて柔道を始める生徒の指導に情熱をもってあたっている姿も見られます。また,保護者の方々の期待や支援も厚く,外部指導者を招き,町道場とうまく連携をしながら存続できている学校もあります。しかし,そのような学校は数えるほどしかありません。生徒も指導を受けている教員が転勤になったらどうなるのか不安を募らせ,また,指導にあたっている教員の方も同じ不安を抱えているのです。

 平成17年度から,長崎市の公立小中学校では,同地区に限り,数校の学校から進学したい学校を選択できる制度がスタートします。これを機に柔道ができる学校として特色ある学校づくりを強化し,子どもたちがその学校を選んで,継続して柔道ができる環境づくりと,それに応えられるの教員の配置を関係機関に強く要望します。小学校・中学校・高校と安定した柔道環境をつくっていく上で,特に中学校柔道は,検討課題を有していると思います。何らかの施策がなされることを期待しています。

 長崎市柔道協会の諸先生方のご厚情による今回の韓国遠征事業は,このような中学校柔道の実情の中で,子どもたちに夢と希望を与えて下さいました。子どもたちの作文にもありますように今後とも事業が継続され,長崎の柔道を志す子どもたちの大きな目標になっていくことをお祈りいたします。